技術は、むしろ、昔風の表現を現代の材料で実現するために使われることになりました。


「技術を使う」という行為が、「技術に使われてきた」建築家たちの自負を大いに回復させる効果も想像以上に大きかった。


ジェンクスが提起したポスト・モダンの奇矯の表現に賛同しなかった建築家たちが、結局は、ポスト・モダンの誘惑に抗せなかったのは・・・


「技術」との関係がある程度、建築家寄りに復旧されることを期待させたからです。


もうひとつ忘れてならないのは、「消費」の問題です。


モダニズムが成立した1930年代から60年代までは、工場が次から次へとつくり出す少ない品種の工業製品を社会が大量に均一に消費するのが、資本・・・


あるいは経済にとって望ましいありかたでした。


スイッチひとつでたちどころにそれまでの環境を消滅させ、新たな場面をつくりだす。


それと古来、完成した時点から「千年王国」を目指してきた都市と建築のあり方は、一致を見ることがありません。


コンピューター化が相当な次元まで達した1970年代には、「技術」そのものが20世紀初頭とは姿を変え・・・


都市と建築の空間・時間感覚とはそぐわないものになることがぼんやりとではあるが見えてきました。


これは、もはや、開き直るしかない事態でした。


行き詰まったモダニズムへの批判が高まるなか、ポスト・モダニストたちは、進歩を放棄して、過去に戻ることを宣言しました。


建築が技術のしもべではなく、時代の進化と微妙なバランスを保って先端の表現でありえた時代・・・


つまり19世紀への回帰が、ここにおいて強く意識されたのです。



スタンリー・キューブリック監督は、1968年に宇宙SF映画の古典ともいうべき「2001年宇宙の旅」を完成させ、コンピューターの自主的な意志による反乱を描いています。


この映画のヒットは、建築が表現すべき普遍的な主題としてコンピューターライズされた社会を抱えて途方に暮れてしまう前途を暗示していました。


しかし、建築は、その後もずっとハイテク・デザインと称して、機械の時代のイメージを反復するしか手がなかったのです。


都市と建築が時代から取り残される事態は救いがたいものとなっていました。


コンピューターを中心とする電子社会は、つねに変化していくことを前提にしています。


それは20世紀が当初から「移動」や「速度」を特色としていた体質の極点でした。



たとえば、世界中のパソコンにいかに多くのインテルのCPU(中央演算装置)が搭載されていても、そこで行われる情報処理の姿は視覚的に確かめようがありません。


建築はその先端のイメージをかつての歯車が噛み合わさった機械のように、表現する術がないのです。


インテルの86系のCPUは、単なる4センチ四方ほどの正方形の薄い板であり、それは自動車や飛行機のように直接には新技術のイメージを社会に擦り込んではくれません。


丹下健三の「東京都庁舎」のように、コンピューター内部の回路図を外壁に描きましたとして、現代の表現とする例もないではないのですが・・・


その「東京都庁舎」がむしろパリのノートルダム寺院に似たシルエット故に懐古的な趣味のデザインとして認識されている現状を考えれば・・・


いかに電子機器の時代というものが、建築にとって表現が難しいか端的に理解できるでしょう。


弱いものいじめの特長は、集団で、陰湿に、長期間、しかも知能的で、相手を弱者とわかっていてやるところにあります。


放置すればだんだんとエスカレートしていきます。


弱いものいじめは、勝つことがわかっているものが、負けることがわかっているものを徹底的にやっつけることであり、それはうさばらしの一方法なのです。


「弱いものいじめとは、現代の子どもの退廃的な文化状況、精神的荒廃を端的に反映した、軽視することのできない人権侵害事件なのである」


・・・とする教育者の意見もありますが、その一方で弱いものいじめについて、いじめっ子といじめられっ子を同等の立揚においてみる教育者もいます。


「いじめる子も悪いがいじめられる子にもそれ相当に問題がある」。


だから指導は、両者併行して進めなければならないと考えているのです。


・・・しかし、それでは両者を対置して問題解決をはかろうとすると、指導の基準が不明確になり、けんか両成敗的な指導方法となってしまい、弱いものいじめの心理や構造がつかめずに終わってしまいます。


中学教諭で非行問題の専門家でもある先生は、


「なによりも大切なのは、だれが被害者で、だれが加害者であるかを明確にすることが必要である」


・・・・と述べています。

けんかということを定義するなら、ことばでうまく通じない部分の自己主張を力で通そうとする、ただしそのばあいは、おたがいに互角であることが条件となります。


1対1、2対2。


けっして一対多数であってはならないのです。


たたく、たたかれるけんかは、はでであり、そのために親や先生にもすぐみつかる性質のものです。


いわば、ひじょうに公開的な争いといえるでしょう。


このように、けんかのばあいには負けても勝っても、先生や親にしかられながら、すぐそのあとで、相手の行動様式を少しでも理解していくというよい結果がみられます。


一方弱いものいじめは、外側からみるとけんかと似ているところがありますが、本質的に違っています。


C君と体育の授業で手をつないだりした生徒は、まるで汚物をとり扱うように手を洗いにいく、周囲ではやしたてる、のけものにする・・・


あげくのはてに、ランドセルにつばをはきかけたり、C君のランドセルのなかに、砂をつめたり、カビのはえた給食の残りのパンをつめたりします。


そして、「ごみがついてる」と大声で叫んではC君を思いきりつねるのです。


・・・まるでこうした状態が大人の理解しがたいほどにえんえんと続いていきます。


まわりの子どもたちも、いじめという自覚がまったくないままにいじめに参加するようになり、まるで気楽なゲームをするかのようです。


こうしたいじめが、学校生活の一部であるかのように、子どもたちの日常生活に浸透しているのが実状なのです。


しかしけんかといじめは似て非なるものです。

昭和58年度に、川崎市内の4つの小学校で約4000人の児童を対象に「いじめ」の調査がおこなわれました。


その結果、「いじめたりいじめられた経験がある」と回答した子どもが8割に達したという数字がでました。


「いじめ」の目常化、陰湿化がついにここまできたのです。


いじめは小学校1年生のときからすでにはじまっているといっても過言ではありません。


たとえば、クラスのなかで、少し動作ののろい子、少し体臭のある子、また、肩にフケが落ちていることがほんの2、3回あったというだけで「バイキン」というレッテルをはられてしまいます。


・・・ある学校のあるクラスでは、C君がちょうどその対象にされていました。


今日の開発途上国と同じように経済ナショナリズムの観点からアレクサンダi・ハミルトンが工業立国の政策を打ち出したのも、こうした背景からです。


とくに「輸入代替」として繊維産業の育成こそ、イギリスへの依存を断ち切り、経済的自立を確立する最短の道であることは明らかでした。


しかし、その点ではイギリスからの技術禁輸もあって、技術の遅れが決定的な障害でした。


ハミルトン一派は率先して繊維事業に乗り出し、商人の間からもモーゼス・ブラウンのようにこれに同調するものも出てくるのですが、問題は技術力の絶対的不足でした。


ちょうどそうしたさなかの1789年に、21歳のイギリス青年サミュエル・スレイターがニューヨークの港に瓢然と降り立ちました。


彼は別に故国で暮らしに困って逃げてきたわけではありません。


偶然アメリカの新聞広告を見て、繊維技術者が求められているのを知って、新天地を目ざしたのです。


スレイターはイギリスのダービーシャー(イングランド中部)の富農の子として生まれました。


清教徒たちが信仰に支えられたとはいえ、「海の変わりやすさ」に耐え、これを克服するために自ら「変わりやすさ」を体得しなければ、死あるのみでした。


その後漁師としても、また世界を股にかける冒険商人としても、彼らが成功したのもこの「変わりやすさ」を信条とする身の処し方でした。


自立への道繊維工業の起源アメリカ資本主義の発展において、ニューイングランダー、とくにボストンなどの冒険商人が果たした役割は決定的に大きなものがあります。


商業資本を産業資本に転換して、「アメリカ的製造方式」を開発したのも彼らでした。


プアスティンがこれを「ニューイングランド・システム」といっているのも理解できるでしょう。


彼らが海で得た信条「変わりやすさ」を陸で発揮して、イギリスに対抗して「輸入代替産業」・・・


織維業を確立し、当時としてはランカシャーにもなかったユニークな工場制生産をはじめたのです。


アメリカにとって、自立への道は決して容易ではなかったのです。


当時のアメリカは独立したとはいうものの、植民地経済の枠のなかに固くはめこまれていたからです。


アメリカはイギリスの繊維製品の絶好の市場であり、同国輸入の半分以上を占めていました。


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